2015-03-08 冬の山 詩 彼は冬の山のようにしづかで、寡黙で、自然でありました深い雪に閉ざされたその山はその内面に、豊かな生命の息吹を隠し時に雪崩を起こしながら晴れた日にはてらてらと輝き白い呼吸をする山でありました彼は何かを望むこともなく病人のやうにじぃっと寝ておりました彼の纏う冬の霧には薄っすらとした異様な蠢きを感じますその細った身体と白い皮膚が彼の内側で脈動してやまないマグマを包み込み 彼は冷たい唇で息を吐き出すのでありました凍りついた内臓を切り裂くようにしんしんとふりしきる雪の中ゆらゆらとゆらゆらと内側に眠る生命とともに揺れていたのです